「過剰終齢ヤゴ」カテゴリーアーカイブ

オオヤマトンボの採卵

九州も梅雨明けし、猛暑の季節がやってきました。
今日は7月7日と同じ池で、再度オオヤマトンボの採卵にチャレンジすることにしました。
夏真っ盛りで色々なトンボの♂がバトルを繰り広げています。

コシアキトンボ
コシアキトンボ♂のバトル
ウチワヤンマ
ウチワヤンマ♂のバトル

9:00くらいになりオオヤマトンボの産卵♀が現れました。

オオヤマトンボ
オオヤマトンボ♀

他のヤマトンボ科のコヤマトンボやキイロヤマトンボとは異なり、やはりオオヤマトンボでは尾端をカップの水にチョンチョンするだけで簡単に採卵出来ました。

オオヤマトンボ
オオヤマトンボ卵

成虫のオオヤマトンボは、他のヤマトンボよりも大型ですが、卵や1齢幼虫は逆に他のヤマトンボより小さめです。
以前の経験では、オオヤマトンボは孵化までが早く5日程度だったので、8月2~3日には1齢幼虫に孵化すると思います。

さて、ここからは追跡しているミヤマサナエ過剰終齢幼虫の話題。
6月26日に過剰脱皮してから32日後になりますが、本日7月28日に死んでいるのが分かりました。
定期的に撮影していたのですが、下は7月25日に撮影したヤゴの複眼の切り出し画像。成虫の複眼を思わせるような構造が現れてきています。

ミヤマサナエ
7月25日のミヤマサナエ過剰終齢ヤゴの複眼

これは、もしかしたら羽化までいけるかもと思いましたが、本日撮影しようとしたらすでに死んでいました。

ミヤマサナエ
ミヤマサナエ過剰終齢ヤゴ、7月28日に死亡

ミヤマサナエのヤゴはずっと泥の中に潜っているので、十分に採餌して栄養がとれているかどうか分からないところがあります。
単に餌不足でエネルギー切れで死んでしまったのか、それとも過剰脱皮するような個体は遺伝子に異常があり羽化まではいけないのか?
う~ん、どうなのでしょうか?

コバネアオイトトンボ、ミヤマサナエ、タカネトンボの生態動画

YAGOPEDIAホームページのヤゴ図鑑に、
コバネアオイトトンボミヤマサナエタカネトンボヤゴの動きを記録した動画を追加しました。

コバネアオイトトンボ
コバネアオイトトンボのヤゴ
タカネトンボ
タカネトンボのヤゴ
ミャマサナエ
ミヤマサナエのヤゴ

このミヤマサナエヤゴは、6月29日にブログに掲載したいわくつきのヤゴで、終齢であるにもかかわらずもう一度脱皮してさらに大型化しました。6月26日に脱皮したので今日で脱皮後20日になります。
羽化して成虫までたどり着けるかどうか興味深い所ですが、下図は左が6月28日撮影、右が本日7月16日撮影の画像です。羽化が近づいてくると複眼のポジションや大きさが変化し、さらに翅芽がふくれてきます。

ミヤマサナエ
ミヤマサナエヤゴ(左が6月28日、右が7月16日)

複眼の拡大。頭部の撮影角度が違うので複眼の大きさの比較は出来ませんが、右の本日撮影画像では複眼と表面の間にスペースが出来てきています。

ミヤマサナエ
複眼の拡大(左が6月28日、右が7月16日)

翅芽の拡大。右はやや膨らんできて垂直方向に立ち上がってきています。

ミヤマサナエ
翅芽の拡大(左が6月28日、右が7月16日)

どうも羽化に向かっての変化がクチクラ内で起こっているようです。

ミヤマサナエの過剰終齢ヤゴ

現在終齢ヤゴの立体画像を少しずつ深度合成画像で置き換えているのですが、その目的で採取していたミヤマサナエヤゴで想定外の現象が起きました。
終齢のはずのミヤマサナエヤゴがさらに脱皮してしまい、巨大サイズのヤゴになってしまったのです。

下図の上が深度合成で撮影した今回のミヤマサナエ終齢ヤゴで令和1年5月12日に撮影したものです。下が従来掲載の終齢ヤゴ。なお、終齢は専門書ではF-0、亜終齢はF-1(終齢マイナス1)と表現します。

ミヤマサナエ
(上)今回のミヤマサナエ終齢ヤゴ5月12日、(下)従来掲載ヤゴ終齢

翅芽の発達具合などから今回採取したヤゴは終齢です。なお立体撮影しかしておらず体長測定はなく、大きさは従来ヤゴに適当に合わせています。

下図は従来掲載ヤゴのF-1(左)、F-0(右)画像。だいたいどのトンボでも腹長に対する翅芽長の比率は似たような感じです。

ミヤマサナエ
(左)ミヤマサエ亜終齢、(右)終齢

6月26日になってミヤマサナエ飼育水槽の中で脱皮殻を見つけました。あれっ?、亜終齢を終齢と勘違いしてた?。画像を再確認しますが間違いなく終齢です。
ということで6月28日に過剰終齢ヤゴ(英語ではoutsizeと表記してあります)の撮影をしてみました。下図の左が従来掲載の終齢ヤゴで、右が今回の過剰終齢ヤゴです。サイズも大きく従来のヤゴの体長が約25mmで今回が約33mm(頭幅は約7mm)。ミヤマサナエの終齢ヤゴは体長26~29mm、頭幅6mm内外といった所です。

ミヤマサナエ
(左)従来終齢ヤゴ、(右)今回の過剰終齢ヤゴ

立体画像です。上が今回のヤゴで下が従来ヤゴ。翅芽の腹節に占める割合も大きくなっています。なお過剰ヤゴになってからは非常にhyperactiveに動き回り、氷冷しても完全に動きを止められず深度合成は出来ませんでした。

ミヤマサナエ
(上)今回の過剰終齢ヤゴ、(下)従来掲載ヤゴ

「トンボ博物学ー行動と生態の多様性」 by フィリップ S. コーベットによると、F-1の段階では色んな要因により脱皮の追加が起こることが知られています。しかし、F-0では観察されていないようです。
また、ヤゴの変態はアラタ体と腹面腺に入力するホルモンで調節されており、実験的に余分なアラタ体を移植されたF-0ヤゴは巨大な過剰F-0ヤゴになったそうです。

最もありそうなのは、このヤゴは変態に関する遺伝子群に何らかの異常を持つヤゴということなのでしょうか?それとも成長ホルモンに問題がある巨大ヤゴで、実は5月12日がF-1で、今回がしっかりF-0とか?
このまま羽化までいって、大型ミヤマサナエ成虫になるのか興味深いところです。

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2019年6月30日追記
この件に関してトンボなどのDNA解析で多くの業績があり、またネイチャーガイド「日本のトンボ」の共著者でもある二橋亮氏にメールで相談させていただきました。
結果として、F-0幼虫の過剰脱皮幼虫の可能性があり、知り得る範囲では報告がない稀な例で、状況により遺伝子解析も試みるかも?とのことです。
二橋亮様、色々とお教えいただき誠にありがとうございました。
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